2003/06/21(土) 北海道へ出発
百名山の中では一番に出てきて、日本最北端の山。 コニーデ型死火山で別名利尻富士とも呼ばれる。 島全体が山といってもいい利尻岳1719m。 いつかは行きたいと、いつも思っていた憧れの山に出かける。
静岡(8:00)からバスで羽田(12:20発)、飛行機で稚内(14:05着)、
フェリーに乗るまでの間に空港から7.8分のところにある北防波堤ドームを見にいく。
稚内は風が強く、強い風が吹く日が年間130日にも及ぶため、「風の街」とも呼ばれているという。
風力発電の大きな風車も目立つ。海沿いに立つ半アーチ型のこの防波堤は、5年の歳月をかけて完成したという。
防波堤のすぐ裏は海になっていて、高い波がバンバン押し寄せてきている。
特に風の強い日はこのドームが無いと、波が頭の上から落ちてくる程の高波になるという。
その波を全て受け止めてくれる防波堤は2001年に北海道遺産に指定されているというが円柱がギリシャの
パンテオン神殿にも似ていてユニークで芸術的なデザインだった。
フェリー(15:30発)で利尻島(17:10着)へ。 鴛泊の旅館へ着いたのは夕方の17:30頃。
今日は移動だけ。夕食は海鮮づくしの晩餐(うに 蟹 昆布 ホタテやえびの刺身 ニシン等) を取り早めにお風呂に入る。
部屋から雄大なドラマティックな夕焼けを眺めて明日は最高のお天気になるなって思うと興奮して 寝られそうにないので旅館の廻りを散歩する。 3000mで咲く高山植物のリシリヒナゲシが道端に普通に咲いていて,嬉しくて写真を撮る。 北緯45度の高緯度に位置するため、本州では高山にしか見られない植物が、 あちこちに普通に咲いていてビックリする。
利尻とはアイヌ語でリイ・シリ=高い山という意味だそうだ
日本最北端 |
稚内空港 |
北防波堤ドーム |
リシリヒナゲシ |
2003/06/22(日) 利尻岳登頂
5:30 仕度を整え昼食のおむすびを受け取り旅館の車で北麓野営場の登山口まで(10分)送ってもらう。
すずらんが咲いてたりトイレも完備しているきれいな広い野営場の標高は約220m 利尻岳北峰の標高は1719m、単純に計算しても標高差が約1500mもあるので かなりハードな山行になるなと心を引き締める。 (予定では登り下りで9時間20分休憩時間2時間30分として11時間50分)
歩いて10分ほどでおいしい水の涌き出る名水百選にも選ばれた3合目の甘露泉 ここが最後の水場なので水を補給する。口に含むと甘く感じられておいしい。いよいよ登山開始。
針葉樹林帯を登る 緩いのぼりででツバメオモトやマイズルソウ ショウジョウバカマ ウツギなどを眺めながら黙々と歩く。本州では高山にしか見られない植物が、 利尻岳では平地から頂上まで広く分布している。左手に海が見える。
5合目あたりで森林限界を越え、展望が開け第一展望台と呼ばれている広場で休憩、 姫沼や鴛泊の町そして礼文島が見える。
高山植物が可憐にあちこちに咲いているので傾斜がだんだんきつくなっても楽しく登れる。 ダケカンバやハンノキなどの林間を進み、ハイマツのトンネル状の樹林帯の急勾配を どんどん登っていき6合目を過ぎると樹林帯もなくなり前には利尻山頂が見えてくる。 7合目7曲がりを経て急登が終わると利尻岳が眼前に迫ってくる長官山(八合目1218m)。 ここまでで3時間半。
ここ長官山は絶好の利尻山頂のビューポイント。 険しい利尻岳が早くここまで登っておいでと 招いているようで嬉しくてわくわくする。
八合目を過ぎ避難小屋を過ぎて行くととエゾノハクサンイチゲやチシマフウロなどが咲き乱れていて 九合目までは(1時間)お花に助けられて軽く登ってしまう。
エゾノハクサンイチゲ |
エゾノウコンウツギ |
エゾエンゴサク |
キンバイソウかな? |
頂上が見える |
9合目 |
あそこまで頑張ろう! |
利尻岳 |
「9合目、ここからが正念場」の道標のところで昼食休憩でゆっくりと休み、 沓形分岐(9.5合目 1500m)にザックを置いて空身で水だけを持って登る。
火山礫のガレ場・ザレ場の超急登で足場の悪いガレを一気に登ると、神社が祭ってある。 ようやくの思いで社のある山頂にたどり着いた。ついに念願の利尻岳山頂に到着した。(12:00)「やったー!」
こんなに遠くまで来てよく登れたな〜〜ってじわじわと感動が沸いてくる。 サハリンなどもうっすらと見えて最果ての山の頂にいる感慨をよりいっそう強めた。
神社に無事に登れた事を感謝して神社の先のお花畑に足を運ぶ。
山頂の岩場に咲く北海道の固有種のエゾコザクラの花を見つけた時は嬉しかった。 又一面に咲き乱れるエゾエンゴサクの淡い青紫色の花に,目を見張った.
崩落が激しく今では立入禁止になってしまっている南峰の姿も良く見える。 利尻岳は北峰と南峰の双耳峰で南峰のほうが北峰より2m標高が高いが、立ち入れないので、 現在では北峰が事実上の山頂である。
山頂近くに雄大にそびえるローソク岩の姿も圧巻だった。
こんなに苦労して登ったんだから降りたくないという気持ちが一杯だったけど・・・・ .それでも充分に満ち足りた気分で頂上を後に下山を開始して往路を戻る。
火山礫の急斜面,踏み出してもズルズルとずり落ちて登りよりも下りが大変だった。
途中、長官山から振り返った利尻は絶品、名残の勇姿をしっかりと目に焼き付ける。
こんなにも登ったかしらと思うほどの長い長い下り。
三合目の甘露泉までくればホッとする。甘露泉の味は格別で下山して飲むこのお水は 世界で一番おいしい水に思える。 旅館の車が迎えに来てくれて昨日の宿の鴛泊にもう一泊する。
夜は又北海道ならではの海鮮づくしのお夕飯(ウニ カニ 昆布 イクラ ホタテのお刺身や海老) に舌鼓を打ちながら今日の成功をおいしいビ ールで乾杯する。
2003/06/23(月) 礼文島へ
翌朝 朝食後近くの灯台山と地元の人が呼んでいる、ペシ岬まで散歩。 小高い丘を登って美しい海を眺める。今日は曇っていてまだ利尻岳が見えない。 うに漁を見学する。ボートに一人づつ乗った男たちは器用に片足で櫂を漕ぎながら 海の中を覗きこみながらうにを取っていた。
旅館を9:30 チェックアウトして鴛泊港で採れたてのうにを一つ500円で食べる。 磯の香がぷーんとして中から次ぎから次ぎへとたくさんうにが出てきておいしくてビックリしてしまった。
今日は礼文島へ渡る。香深港へフェリーで渡る(40分)
礼文島は人の住む離島の中では最北にある。 礼文島は稚内市の西方に位置していて、利尻島より更に沖にある。
人も極端に少ないから手つかずのまま自然が残っている。
開発されていない自然を散策する。高緯度であるからこの島では低い岡の上であっても 森林限界を越えるとみられるような笹が一面に広がっていたり、また西側の海岸線は 荒々しく侵食され、その上には緑一面の岡が広がる光景も特異的だ。 育つ植物も高山のものに近いようで、一面が淡く花の色に染まる今の季節は一段と美しい。
日本にもこんなところがあったのねとあらためて感動する。 高山植物の宝庫と言われる桃岩展望コースとレブンウスユキソウの咲く礼文林道コースを歩く。 花一面の草原を歩くのは、きわめて快適。
桃岩は、その名のとおり桃そっくりの高さ250mの巨大岩で、色とりどりの高山植物が咲き誇る。 周辺は、 道の天然記念物に指定されていて展望台からは利尻島や礼文島西海岸一帯、眼下の猫岩が望める。
レブンウスユキソウ群生地は礼文林道沿いにある。
礼文固有の花で、可憐で可愛らしく咲いていて嬉しかった。
レブンシオガマとシシウド |
お花畑 |
レブンウスユキソウ |
レブンキンバイと イブキトラノオ |
センダイハギ |
チシマフウロ |
エゾスカシユリ |
お花畑 |
北アルプスで見慣れたヨツバシオガマそっくりで背が高く花数が多い物は レブンシオガマと 呼ぶそうでエゾカンゾウは終わりかけていて数が少なかったけど、チシマゲンゲ チシマフーロがきれいだった。
北岳で出会ったミヤマハナシノブを一回り小さくしたようなかわいい花は カラフトハナシノブ。 チシマゲンゲ リシリゲンゲ ボタンキンバイと数限りない高山植物がこんなに低い所で咲いていて大感激。 レブンウスユキソウを見つけては歓声を上げたりしていた。
北海道でも1600m以上の高山でしか見られない可憐な高山植物がこの礼文島では海抜ゼロメートルで咲く。
道ばたにはコウリンタンポポ マンテマなどの帰化植物が咲き誇りこんなに増えたら 固有種に影響が出そうで心配になるくらいだけどとてもきれいで見とれてしまった。
旅館まで歩いて到着(5:30)今日も二万歩ぐらい歩いた。
部屋で今日見てきたお花で名前のわからなかったものなどを植物図鑑などで調べる。
エゾ(チシマ)ゲンゲ |
シシウド |
カラフトハナシノブ |
レブンタカネツメクサ |
2003/06/24(火) 利尻岳とウミネコ
朝早く起きて海岸を一時間ぐらい散歩する。 海の向こうに利尻岳がそびえ目の前でウミネコが飛び交い、 うに漁のボートがたくさん浮かんでいて空気がおいしくて気持ちがいい朝。
朝食を済ませチェックアウト
香深港を9:55の出発までの自由時間にタクシーを頼んで地蔵岩まで往復してもらう。
地蔵岩の付近は礼文島の白亜紀堆積層の中でも一番古い部分が現れていて硬い堆積岩の互層を 見る事が出来地蔵岩は侵食されて柱状に残ったものが高さ50mの岩柱となって鬼門のように立っている。 お地蔵さんが手を合わせて拝んでいるように見える事からの命名。
夕日のビューポイントとしても有名だけど夕日は今回は見られない。
地蔵岩まで歩いた浜辺でハマベンケイソウの青い花に出会えた。(その時はまだ名前は知らなかった)
ベンケイソウと付くので、ベンケイソウの仲間のような気がしていたらこれは「わすれな草」と同じ ムラサキ科の花で葉は肉厚で青白色をしていて、青い釣り鐘形の花が涼しげだった。 蕾の時はピンクがかっている。この花を知った事がここに行った最高の収穫だった。
お店で採れたての生うにと焼きうにを食べてビールを飲んでこれも最高だった(^o^)
集合場所の香深港に戻りフェリーに乗り一路稚内港へ
利尻岳とウミネコがいつまでもいつまでも見送ってくれた。
稚内空港〜羽田〜静岡と無事に帰宅。
地蔵岩 |
地蔵岩 |
ハマベンケイソウ |
利尻岳とウミネコ |
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